ジュールズ・ロスカム監督特集
〜あるトランス男性の10年の軌跡〜
「トランス男性の映画」をつくると、「トランス男性」とはそこに映っている人のことだと思い込む人がいる。トランスについて「分かり易く」説明する映画を作ると、トランス物語を強化する羽目になる。いつも「トランス男性の」と形容され、「トランスらしさ」や「男らしさ」を求められる。
少数派が置かれるダブルバインド。行っても戻っても地獄なこの不条理。ロスカム監督は、こんなカラクリにも抵抗している監督だ。
性別移行、男らしさ、恋人や友人との関係、男性特権、フェミニズム—そんなテーマから、米国の人種差別も描き、自身の家族内の暴力というテーマに行き着く。交差する様々な課題に次々と挑戦し、映画を通して自己と向き合い/他者と対話し続けてきた。そんなロスカム監督の10年間の映画(長編4作品・短編3作品)を通して、一人のクィアの生き方に触れて欲しい。
ジュールズ・ロスカム監督の略歴
シカゴで生まれ、フィラデルフィアの郊外で育ち、2001年には、ビジュアルアーツの学士を取得。その後ニューヨークで、MTVやヒストリーチャンネル、Curious Picturesなどの制作会社や、幅広いアーティストのもとで働き経歴を積む。また、非営利のメディアアート団体「Dyke TV」にも参加。クィアコミュニティ向けのテレビ番組を制作し、高く評価される。
監督した映画は、世界各地の映画祭で上映され受賞も多数、公共放送で公開されたこともあった。
2019年5月に完成した最新作『Dance, Dance, Evolution』は、性別移行についてしばしば語られない側面に焦点を当てる3部作のうちの2本目だ(1本目は『思いっきり泣くこと』)。
現在は、メリーランド大学ボルチモアカウンティ校で、ビジュアルアーツの助教授を勤めている。
特集解題
特集企画
今年の特集では、映画上映に加えて、様々な企画を用意しています。
ぜひ、お気軽にご参加下さい。
詳しくは【特集企画】のページをごらん下さい。
シネマカフェ [大阪会場] 3回開催します
- 9/22(日) 10:10『トランスペアレント』上映後、そのまま視聴覚室で
- 9/23(月/休) 10:10『パパのやり方』上映後、視聴覚室に移動して
- 9/23(月/休) 12:30『トランス物語に抗して』上映後、視聴覚室に移動して
クロージング企画 [京都会場 10/20(日) 18:05]
関連企画 日本のトランス男性と映画
日本で映画を作っているトランス男性たちの声を聞いてみよう!
[京都会場 10/20(日)]
詳しくは【関連企画 日本のトランス男性と映画】のページをごらん下さい。
特集作品一覧 画像クリックで作品詳細
ロスカム監督作品 レビュー一覧
『フィッツジェラルド、ここに眠る』
『トランスペアレント』
『トランス物語に抗して』
『クィアな仲間の作り方』
クィアな仲間とは、目の前にある、「普通」とは異なる社会的つながりを共に想像できる仲間岸茉利
時々「やっぱり私たちってクィアだね」とふと肩の力を抜いて笑う瞬間がある
あやこ