13thKansaiQueerFilmFestival2019

ジュールズ・ロスカム監督 経歴

ジュールズ・ロスカムは、世界中から幅広い評価を得ている、映画製作者・アーティスト・教育者である。オートエスノグラフィーを初めとした様々な手法を用いながら、個人や社会の歴史やアイデンティティがどのように形作られているのか、追究しており、その実践は学問分野の垣根を越えるものである。

シカゴで生まれ、フィラデルフィアの郊外で育ち、2001年には、ベニントンカレッジでビジュアルアーツの学士を取得。その後ニューヨークに引っ越し、MTVやヒストリーチャンネル、Curious Picturesなどの制作会社や、幅広いアーティストのもとで働き、編集やプロダクションの経歴を積み重ねる。また、非営利のメディアアート団体「Dyke TV」にも参加。クィアコミュニティ向けのテレビ番組を制作し、高く評価される。製作総指揮の役割まで登りつめ、番組と団体の主要メンバーの一人にもなる。

2005年に、初の長編映画『トランスペアレント』を公開し、アメリカでも世界でも高く評価され、多くの賞を受賞。2006年にFramelineに配給権を買い取られて以来、人気の作品であり続けている。50以上の映画祭で上映され、2008年6月にはアメリカの公共放送PBSでも公開された。

2006年に、シカゴ美術館附属美術大学でMFA(美術学修士)を取得するためにシカゴに引っ越し、グレッグ・ボーダウィッツ、フレデリック・モフェット、セディ・ベニングなどのアーティストの傍らで学ぶ。その間、2008年から2010年まで続いた月刊の人気上映シリーズ『Threat Level Queer Shorts』を共同設立する。

2007年夏には、『The Ellen Stone Belic Institute for the Study of Women and Gender in the Arts and Media』 の特別研究員となり、研究所の協力を得て、2本目の長編映画『トランス物語に抗して』を制作する。世界中の映画祭で上映され、2010年6月にはカナダの公共放送CBCでも公開された。また、2010年には、Video Data Bankに配給権を買い取られた。

2012年に、3つ目の長編映画『クィアな仲間の作り方』を撮影するために、シカゴに戻る。 この作品も、世界各地の映画祭で上映され、今でも北米の大学を中心に上映され続けている。

2018年には、インディペンデントドキュメンタリー・センターや、LEF財団の手厚い協力を得て、4本目の長編映画『パパのやり方』を完成させる。2018年2月、ニューヨーク近代美術館の『Doc Fortnight』で世界初公開。それ以来、世界中で上映され、数々の審査員賞を受賞している。

加えて、2018年には、短編作品『思いっきり泣くこと』も完成。この映画は、性別移行についてしばしば語られない側面に焦点を当てる3部作のうちの1本目である。2018年4月にAnthology Film Archivesで公開されて以来、世界各地の映画祭で上映され続けている。3部作の2本目『Dance, Dance, Evolution』は2019年5月に完成。2019年6月にリンカーン・センターで開催された、第47回ダンス・オン・カメラ映画祭で世界初公開。

ロスカムはファインアーティストでもあり、アメリカやヨーロッパのギャラリーで、絵画やインスタレーション作品、パフォーマンスを展示してきた。加えて、教授や講演者としても注目されており、ハンプシャーカレッジ、ニューヨーク州立大学オールド・ウェストバリー校、インディアナ大学 - パーデュー大学フォートウェイン校に勤めてきた。現在は、メリーランド大学ボルチモアカウンティ校で、ビジュアルアーツの助教授を勤めている。

【出典】ロスカム監督のホームページ





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