13thKansaiQueerFilmFestival2019

パパのやり方

►9/23(月・休) 10:10 すてっぷ(上映後に、シネマカフェあり)
►10/19(土) 15:25 西部講堂

パパのやり方スチール

両親の若い頃をたどって、ロスカムはアレックスと共に長い旅路に出る。思い出したのは幼い頃の虐待の記憶。なぜ家族は機能不全になった?真摯に何度も対話し記憶や体験を丁寧に繋げ、自己と家族の回復の道程を探る。(ちょんかんす)


『パパのやり方』作品レビュー


過去のトラウマが、家父長制社会で生きるトランス男性としてロスカムの人生に、どのような影響を及ぼしたのか?
内野クリスタル







邦題:パパのやり方
英題:Paternal Rites
監督:ジュールズ ロスカム Jules Rosskam
   82分|2018年|米国|英語
web:https://www.paternalritesfilm.com/

監督からのメッセージ

ロスカム顔写真

 「トラウマ」を題材にした映画を作ろう、と最初から思っていたわけではない。当初は、1974年の両親のアメリカ横断のロードトリップを辿ることで、大陸だけでなく、時空を横断したい、という意図があり、4年前に『パパのやり方』を撮り始めた。そうやって、両親を、今までとは違う、新しい見方で知れたら、と思っていた。けれども、結果的に、映画制作を通して、自分の人生の暗い側面を掘り起こすことになってしまった。掘り起こしたからには、その中に埋もれて、隅から隅まで掘り返して、向き合った後にちゃんと元の場所にしまえるようにしたかった。作品の制作を通して、物事と向き合う、というのが私のやり方だ。だから、この映画は、自分の他の作品もそうであるように、知恵や人との繋がりを追求してきた私の軌跡の証拠であると言える。

『パパのやり方』では、多くの点において、私が家族の中の男性たちとどのように付き合ってきたか、ということを描いている。トランス男性である自分にとって、「男らしさ」は近いものであり、かつ遠いものだ。そんなユニークな立ち位置にいるからこそ、「男らしさ」というものを、解きほぐし、振り返ることができる。「男らしさ」を自分のものにする、ということについて、批判的に考えることができるのだ。

『パパのやり方』は、私個人の家族の話であると同時に、すべての家族の話である。家族のメンバーの一人ひとりが如何にして、家族を維持しているのか——そんなことを描いている。それだけでなく、親が、私たちを守り、知り、向き合おうとした結果、失敗することが、如何にして多くの人にとって、トラウマになっているか、ということも描いている。加えて、「家族という制度」の中で、私たちは初めて、ジェンダーの権力構造に出会い、強要される、ということも、この映画を通して映し出せていたら嬉しい。職場における女性に対する暴力が横行している文化だからこそ、家族制度も、その問題の中心にあると、ということを忘れてはならない。家族制度こそが、家父長制社会の土台であるのだ。

『パパのやり方』は、提案でもある——トラウマを乗り越えて、繋がりに向かうためには、痛みのおおもとに立ち戻ることが良いのかもしれない。対話と批判的な自己認識を通して、傷を癒すセラピーのような過程の表れだ。

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