マリク
『ゲイ短編集』で上映されます。
►9/24(月・休) 12:35 すてっぷ
►10/20(土) 11:10 西部講堂
逃避行を決めたふたりの話。
冒頭からものものしい雰囲気で、居心地悪い緊張感は、たった数分がその何倍にも感じられる程だ。エンドロールになって初めて嘆息が許されるような作品である。せわしなく荷造りをするマリクには、後ろ髪を引かれる瞬間もあるようだが、邪念をふりのけて作業を進める姿からは、それを圧倒する切迫した状況が浮かび上がる。
作品を見て、この人が属する共同体は不寛容だと判断するのは早計だ。自身が所属するグループは均質であるべきで、異端や逸脱は認めないという心理は、程度の差こそあれ誰の心にもある。「私は差別主義者ではない」と称する人のうちどれだけの人が、マリクに対して、またはマリクの属する社会に対して石を投げつけることができるだろうか。自分の中にある無謬感を放棄するのは絶望的に難しい。
この絶望の中での唯一の光は、自分の無謬感に疑念を持てるか、しかないのである。マリクの兄が示したように。
邦題:マリク
原題:MALIK
監督:Nathan CARLI|15分|2018年|フランス|フランス語
web:https://www.georgesfilms.fr/malik.html
♦日本語の作品を含め、『サイン』以外の全ての上映作品に日本語字幕が付きます。
♦ステージ上での全てのトーク・講演に、手話通訳がつく予定です。
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