FTM特別企画
►10/20(土) 14:10 西部講堂
FTM監督ロスカムの最新短編の上映と、トランスジェンダーである吉野靫さんのトーク(講演)を行います。
思いっきり泣くこと
ビデオを見て涙を流す3人のトランス男性。さて、何を語る……?
邦題:思いっきり泣くこと
英題:Something to Cry About
監督:ジュールズ・ロスカム/Jules Rosskam
13分|2018年|米国|英語
web:https://www.julesrosskam.com/something-to-cry-about/
特別講演:その後の10年——「性同一性障害」医療訴訟と、トランスの道筋を振り返る
吉野靫/ヨシノユギ(立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員)
かつて、より安全な環境でトランスし、人生を大切にしたいという思いから「性同一性障害」の正規医療にアクセスした。だがそこで遭遇したのは、想定しなくてよいと言われた手術の失敗や、性別二元論に基づく医師の認識。やむを得ず提訴に踏み切った後は、「当事者」からのバッシングも多かった。あれから10年以上が過ぎたが、トランスジェンダーの身体改変をめぐる状況は変わったのだろうか。当時の状況や裁判をめぐる言説について、「学術的」には解消しきれない率直な思いを語る。
またトランスジェンダーという語は認知されるようになったが、「低刺激性」の説明が固定化してはいないだろうか? 制度や規範との避けられない摩擦に、どのようにアプローチしていけばよいだろう。己の立ち位置を更新し続けながら、心を波立たせる話題についても考えてみたい。
講演者 吉野靫/ヨシノユギ さんの紹介
2002年、立命館大学の学生自治会でGSP/Gender Sexuality Projectを立ち上げ、全学的に活動を開始。セクシュアル・ハラスメントの実態調査、ガイドライン改訂、デートDVやセーファーセックスなどの学習会、トランスジェンダーのためのトイレ改善や通名通学、全新入生にジェンダー・セクシュアリティ問題専門のパンフレット配布など、啓発と制度改変を行った。2004年には、学生団体単独では日本で初めてとなるレインボーパレードを開催。
2006年、大阪医科大学ジェンダークリニックにおいて医療トラブルに遭う。翌年、大阪医科大学を相手どり提訴。立命館大学先端総合学術研究科に編入し、トランスジェンダーに関する論文執筆や企画開催を開始し、医療訴訟の原告としても講演活動を行う。2010年、複数の条件で合意が成立し勝利的和解。現在は心身の回復をはかりつつ、生存に注力している。
♦論文・コラムなど(web や図書館で読めるもの)
- 2008 年 3 月「『多様な身体』が性同一性障害特例法に投げかけるもの」(『CoreEthics』Vol.4、立命館大学大学院先端総合学術研究科)
- 2008 年 3 月「GID規範からの逃走線」(『現代思想』36-3、青土社)
- 2008 年 5 月「GIDID」(『現代思想』青土社、36-5、p.222)
- 2009 年 3 月「GID 正規医療の「QOL」/当事者の「QOL」――MTF 当事者への聞き取りから」(『Core Ethics』vol.5、立命館大学大学院先端総合学術研究科)
- 2010 年 3 月「ヒポクラテスの切っ先」、『現代思想』38-3、青土社
- 2015 年 10 月「砦を去ることなかれ――繰り返し、忘れえぬ爪痕に抗して」、『現代思想』43-16、青土社
♦各活動に関して
- 立命館大学 GSP (過去のレインボーパレードの様子、新入生全員に配布していた新歓パンフレットのデータなどがあります)
- ヨシノ支援プロジェクト(提訴までの様子、質問状、訴状ダイジェスト、口頭弁論の内容など)
- 研究科の個人ページ
♦日本語の作品を含め、『サイン』以外の全ての上映作品に日本語字幕が付きます。
♦ステージ上での全てのトーク・講演に、手話通訳がつく予定です。
♦Some non-English films will have English subtitles. Please visit [subtitle] for more information.