アリフ、ザ・プリン(セ)ス

►10/21(日) 18:55 西部講堂

阿莉芙スチール

 台北で美容師として働くアリフは、村に帰れば原住民族長のひとり息子。父からは後継者として目されるが、アリフの心は落ち着かない。族長の地位には器が足りないと思う気持ち、性別適合手術への踏ん切りがつかない自分へのふがいなさ。不完全な自己の狭間でアリフは苦しむ。悩みを吐き出せるのは友人の前だけだが、悲しいかなそのやりとりからは具体的な解決策は見出せない。つまり助けにならないむだな行為なのだ。
 しかし、この作品が単なる「閉塞感からの自己解決」という一直線の流れにとどまらず、ゆるやかに周辺を巻き込みながら互いの人生に化学反応が起こせたのは、(逆説的ながらも)そんなむだなものや不完全な人たちの存在による部分が多い。
 「我々の不完全な人生には、むだなことだっていくぶんは必要なのだ。もし不完全な人生からすべてのむだが消えてしまったら、それは不完全でさえなくなってしまう。」某小説にあったそんな言葉を思い出す。

邦題:アリフ、ザ・プリン(セ)ス
英題:ALIFU, THE PRINCE/SS
原題:阿莉芙
監督:ワン・ユーリン/王育麟
   91分|2017年|台湾|北京語・台湾語
web:http://alifu.magnifiquefilm.com/home

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