~ 歴史をつくる これからも わたしたちも ~
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「ここ5ヶ月間でイスラエルに殺害されたパレスチナ人は186人」「26歳のパレスチナ人男性が、イスラエルの刑務所で、裁判なしでの3度目6ヶ月の拘禁延長」「イスラエル軍がラマラのテレビ局『パレスチナ・トゥディ』を襲撃し閉鎖」「2014年のガザ地区の失業率は平均43%」「イスラエル軍の空爆で10歳のヤシン君が死亡、6歳の妹が重傷」…
イスラエル政府によるパレスチナ人への弾圧、差別、占領、暴力は、日本でたまに大きく報道される時にだけ起きているのではなく、昨日も、今日も、続いている。
その一方で、東京レインボーウィーク2014の公式ガイドブック「WHO?Magazine」には、「ゲイシティ テルアビブの魅力」「テルアビブに学べ!こうすれば東京も変わる!」という特集ページが4ページに渡って掲載された。「ゲイフレンドリー」を積極的に打ち出すことで(ピンク色で)イスラエル政府がパレスチナ人への人権侵害を行っている事実を覆い隠し(ウォッシュし)、パレスチナやアラブ・イスラム文化圏に比べて、イスラエルが「人権先進国」であるかのように見せるイメージ戦略を「ピンクウォッシュ」と呼ぶ。
もともとはイスラエル政府の政策を批判する用語だが、イラク侵攻で多くの市民を殺した米国政府が「中東でのLGBTへの人権侵害」を非難してみせたり、公園からの野宿者排除を推進する渋谷区が「同性パートナーシップ証明」を打ち出したりと、同様の構図はあちこちにあり、今ではそれらも「ピンクウォッシュ」として批判されることがある。
背景には、性的マイノリティーの課題が「個人的な趣味」として扱われ相手にされなかった時代から、「LGBTフレンドリー」を打ち出すことが肯定的なイメージ戦略として機能する時代に変わったという事実がある。「LGBTフレンドリー」であれば何でも無条件に歓迎していればいい時代では、もうないのだ。性的マイノリティーの社会運動の側は、この状況の変化にどう対応するのだろうか。
関西クィア映画祭では、これまで、パレスチナやアラブ・イスラム文化圏の映画も何度か上映してきた。日本ではあまり情報が流れていない分野だということもあり、今後も積極的に上映していきたい。
また、パレスチナの市民社会からはイスラエルに対するBDS運動(ボイコット・資本引き揚げ・制裁)が呼びかけられている。これは映画など文化的ボイコットも含み、関西クィア映画祭としてもこのBDS運動を支持することを確認した。
とはいえ、アラビア語が分かる者もおらず、私たちが手に入れる情報も英語圏を経由したものもがほとんどだ。私たちの行動が善意からのものであっても、そこに、植民地主義的な視線が含まれる可能性も大きい。その意味で、ぜひ多くの方のご意見やアドバイス、そして協力をお願いしたい。意見交換もし、ともに学びながら、パレスチナ解放を目指し、「LGBTの人権」の政治利用にも抵抗していきたい。