~ 歴史をつくる これからも わたしたちも ~
関西クィア映画祭は、排除や差別の構造を問題化し意識化する映画祭であるがゆえに、正しい人格を持った実行委員会だと思う。だからセクシュアルマイノリティの解放のための手順や手法も議論の対象となっているし、マイノリティや被差別者が社会や権力に受け入れられるときの理由や背景についても、社会の差別構造の観点から読み解くことが徹底されている。こうしたスタンスで10回目を迎えるということは、世の中に残り続く正しさの一つとしてあると思い勇気を頂いている。
国内外のピンクウォッシュのことを詳しく知ることができたのもこの映画祭がきっかけだった。関西でしか開催されないのが惜しく、他の地域の人々にもぜひ観てもらいたいと思った作品(「R/EVOLVE-結婚と平等とピンクマネー 」)があり、昨年の東京レインボーウィーク2015で自主上映会をさせて頂いた。
今年の映画祭では、従来の国内外のクィアの映画の数々に加えて、従軍慰安婦問題の映画や、移住労働女性の映画もあり、幅広い関心からジェンダーの搾取構造を焦点化する、関西クィア映画祭らしい素晴らしい構成となっている。
2014年の映画祭では、人身売買やセックスワークに関する映画も上映され、性にまつわる様々な運動課題を横断的に網羅している。その年の会場では私の所属する団体SWASHの活動紹介展示もさせて頂いた。
性に関する社会の問題について、自由な取り上げ方・自由な消費のされ方をよしとする社会活動の新自由主義に一石を投じる関西クィア映画祭を全面的に応援したい。