~ 歴史をつくる これからも わたしたちも ~
記念すべき10回目の映画祭開催おめでとうございます。2005年の初夏、タウン誌の編集部で働き始めた私は「第1回クィア映画祭」のチラシを梅田で見つけ、「こういう情報を発信したい!」と胸をワクワクさせたものでした。あれから10年が経過し、性的少数者を取り巻く環境は大きく変化したように見えます。多くのメディアが「LGBT」という言葉を使い始め、同性同士の恋愛・結婚に人々の関心が集まるようになり、昨年渋谷区で制定された「同性パートナーシップ条例」はニュースでも肯定的に取り上げられました。しかしその渋谷区は、日本で最もLGBTフレンドリーな自治体としてのイメージを振りまく一方、公園に居住する野宿者を徹底的に追い出してきた自治体でもあることは見過ごしてはならないでしょう。キレイで、才能があって、活躍できる力のある者ならマイノリティでも歓迎されるけれど、そうでない者は容赦なく排除される社会、そういう社会に私たちは生きているのかもしれません。
だからこそ、この状況下で「ピンクウォッシュ」特集を企画した映画祭実行委員会に拍手!これはやはり、 10年以上続く取り組みの中で、ブレずに人権の普遍性を追求してきた関西クィア映画祭だからできることでしょう。“金になるマイノリティ”と“金にならないマイノリティ”の分断には寄与しない、その潔い姿勢に学ぶところは多くあります。
「性」や「生」は他者から定義づけられ、値踏みされるものではない。もっと豊かで独自性にあふれているはず。そのことを再確認させてくれるのが、私にとっての関西クィア映画祭です。今こそ多くの人に観てほしい。関西クィア映画祭に行けば、きっと多くの発見、そして勇気を得られるはずです。