パレスチナ人のセリムとアラブ系ユダヤ教徒のエズラは、エルサレムに住むゲイカップル。しかし、セリムは西岸地区に強制送還されてしまい、エズラと一緒にエルサレムで暮らすことができない。
イスラエル市民でもあるエズラは、イスラエルによるパレスチナ占領に反対して、今日も検問所の兵士に語りかける。「命令に従っているだけ」と言う兵士に対して、エズラが問いかける―「ナチスもそうだった。自分が何をしているか、自分で考えて欲しい」。
レズビアンカップルであるエディトとサミラは、占領に反対するデモに参加している。しかし、軍事政権の抹殺リストに載っていたアルゼンチンからイスラエルに逃れて来た移民ユダヤ教徒の家族の一員であるエディトにとっては、イスラエル国家は自分たちの家族を救った存在だった。エディトにとっての祝日「イスラエル独立記念日」は、パレスチナ人のサミラにとっては、イスラエルによる侵略が開始された悲劇の日だった。
この映画の監督の祖父母は、実はイスラエル建国運動に関わっていた。映画は、その当時の記録フィルムも織り交ぜながら淡々と進む。イスラエルによるパレスチナへの侵略と占領が継続される現状で、各個人の置かれる政治的背景が大きく異なっている2組の同性カップルを通して、「個人と個人」「個人と社会」の、複雑な距離感を描くドキュメンタリー。
●上映履歴
関西クィア映画祭(2007)
第5回連連影展(2008)
ナクバから60年 イスラエルによる占領にも、ホモフォビアにも、反対するために(京都 2008)
邦題:0メートルの隔たり
原題:Zero Degrees of Separation監督:Elle Flanders
上映時間:89分
製作:2005年 カナダ字幕:日本語/英語(両方ついています)
言語:英語・ヘブライ語・アラビア語