企画にはたくさんの人が訪れたので、とても楽しい雰囲気になった。やっぱり企画は人が集まってこそだと思う。
来た人を見ているといろんな人がいるけれど、全体としては学生風の人たちがとても多い、という印象を受けた。ジェンダーやセックスを越えるという一見異質にも見えるテーマに対して、こうした若い人たちはどのように考えているのだろうか?
自分たちの身近なテーマとして受け止めているのだろうか?
映画をネタにして、そういう話が出るといいなと思ったので、終わりの質疑応答はもう少し意見が聞ければよかったかもしれない。
映画の内容は、通常MTFに対して取り上げられる頻度が少ないFTMに焦点を合わせていたのが新鮮だった。レズビアン・ブッチとFTMTSの間の対立とか、フェミニズムとの関係とか、FTMをめぐる文脈をある程度知っていれば、いろんな刺激を得られる映画だったのではないかと思う。また、単純な性別相対主義とは異なり性別適合手術の重要性を強調する当事者のような、より広い範囲の意見も紹介していることは、懐が深いと感じた。
ただ、難点はかなり展開が速すぎて、じっくりと考える前にどんどん進んでしまうことだろうか。FTMをテーマにするにしても、もうすこし主張する内容を絞って作れたら、よりじっくりと説明できてわかりやすくなっただろうと思う。おそらく、作った人たちは、FTMに関して是非わかってもらいたい問題を、総体的に盛り込みたかったのだろう。その意気込みは伝わってくるような映画だったと思う
(By えす)
関西クィア映画祭 実行委員会
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