イスラエル軍のガザ侵攻が続く今年1月、23日~27日に大阪梅田のヘップホールで、「性をテーマとした映画祭」である第4回関西クィア映画祭が開催されました。世界中が注視する中で公然と繰り広げられるイスラエル軍の殺人と破壊行為に強い怒りを覚えていた私は、その映画祭の会場に以下のポスターを掲示しました。
追悼
No Pride In The Occupation
性を理由とした暴力がなくなるまで。
性に関わりなく人の命を奪う
戦争と占領がなくなるまで。
イスラエルによる、今も続いている、ガザ地区への
侵攻・占領・封鎖に抗議します。
ひびの まこと
すると、観客としてきていたイスラエル人から意見が寄せられました。いわく、ガザから発射されている数千発のミサイルに抗議しないのはなぜか。パレスチナではゲイたちが死に至ることもある身体的な虐待を受けていて、それから逃げるためにイスラエルに来るゲイもいる。可視的で活動的なゲイコミュニティーがあり、法律によっても守られている中東で唯一の国であるイスラエルが、クィア映画祭において、まるで人権の侵害者であるかのように表現されているの見て、皮肉に思った。などです。
実は私が2002年にパレスチナ/イスラエルに行った時にも、同じような経験をしました。占領に反対するある集会会場で、私は、占領に反対すると同時に性的少数者の権利をも訴えるチラシを配っていました。すると、集会に反対するために来ていたイスラエル国旗を持った正統派の人達にこう言われたのです。「イスラエルではゲイの権利が守られている。しかしパレスチナの村ではレズビアンが村人に殺されている。あなたは何故そんなパレスチナの味方をして、イスラエルを非難するのか!違うじゃないか!」
わたしは、イスラエル軍によるパレスチナへの侵略・占領・封鎖に反対です。しかしだからといって、パレスチナの社会において性的少数者が殺されることをやむを得ないと考える訳ではもちろんありません。
「誰の味方か」「どちらの側か」のような単純化したアプローチではなく、イスラエルによる占領にも、イスラエルやパレスチナを始め世界中にある同性関係嫌悪(ホモフォビア)にも、それぞれに反対するということがどういうことか。中東地域唯一の性的少数者のパレードにおいて「占領が続く今、カラフルなお祭をすべき時ではない」と訴えて黒ずくめ衣装で参加していたクィア系グループ「ブラック・ランドリー」の主張も参考にしつつ、皆で考える場を持ちたいと思います。
ひびの まこと(関西クィア映画祭)
関西クィア映画祭 実行委員会
TEL 080-3820-2731
メール TOKYO2009[at]kansai-qff.org
https://kansai-qff.org/