フリアの週末
フリアの週末
That Weekend
出稼ぎ先のブラジルからアルゼンチンに帰って来たフリア。
隠したお金を持ち帰り、一枚の書類にサインするという二つの単純な事柄は、どちらも思うように運ばない。
久々に会う娘とのやり取りは腫れものを触るかのよう。時折感情的・感傷的な会話を織り混ぜながら、距離を測り合う母娘を通して、物語は進む。
フリアを「善人」として描かない点、ましてや「奔放な母」というレッテル貼りをしない点はこの映画の魅力と言える。
人生で選択したこと、選択しなかったこと、その二者間で揺れるアイデンティティ。
人生とは、選択という音符をひとつひとつ紡ぐ曲づくりのようなものかもしれない。
母娘ふたりが満面の笑顔で踊るシーンは、人生の無数の選択を経た先の光だと思う。
もちろんそれもすぐ(作中ではかなり乱暴に)消えてしまうのだが、その微光は確実に残っている。
早朝のフリアの迷いながらの出立と、それでいてしかとした足取りはその微光を象徴しているのだ。
2022年カンヌ映画祭でも上映された南米発の秀作。
(よりー)
監督から
Mara Pescio監督
予告編
スチール
作品基本情報
邦題
フリアの週末
原題
Ese fin de semana
英語題
That Weekend
監督
Mara Pescio
上映時間
67分
制作年
2021年
制作国
アルゼンチン・ブラジル
言語
スペイン語・ポルトガル語
字幕
日本語字幕あり / 英語字幕あり English subtitles are available
プレミア情報
日本初