ワイルドネス
▼火曜の夜に出かけるなら、ラテン系トランスジェンダーの集まるバー・シルバープラッターへ。野心と才能に満ちたウーの仕掛けるイベントWILDNESSを覗けば、性別も肌の色も、服装も好みも関係なく、人が心で通じ合えることが分かるだろう。そこは、移民を含む誰にとっても安全な場所であり、またそうあり続けねばならない。LA郊外の若者の、情熱と葛藤・盛衰を、疾走的に描いたドキュメンタリー。(ジョージ☆フサコ)
上映日時
【大阪】 9/16(月) 11:30開演 (11:10開場)
【京都】 10/5(土) 11:30開演 (11:10開場)
作品情報
ワイルドネス / Wildness
監督:Wu Tsang
2012|米国|73 min|日本プレミア
音声:英語、スペイン語|字幕:日本語
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トレーラー
写真
作品紹介
訪れたそこは、ゲイバーなのか、なんなのか、ワイルドネスのやっていたバーを訪れたとき、私は久々に旅にでてきたことを感じさせてくれた。これがアナーキーというのか、どんなにか自由な空気が流れていたことか。そこがどういうところなのか説明もなく、男なのか女なのか自分のアイデンティティの意味も忘れてしまうくらい。アメリカなのかなんなのか、それはシルバープラッターだったからなのか、ウーのイベントだったからなのか、感覚がぶっ飛ばされるようなエネルギーに満ちていた。とにかくウーはめちゃめちゃ魅力的な人で、目をキラキラかがやかせていて、ひと目で好きになった。初めてあった時から魅力的な人だった。すごく覚えている。
彼に出会って、私はジェンダーやセックスの考え方が変わった。とても素敵で楽しかったから。彼がどちらからトランスしてなんなのか分からなかった。ただすごく素敵だったのだ。シルバープラッターもそんな場所だった。楽しい場所は、より超えていく、を体現している人、している場所だった。
理由より先にあるものがある。自分たちが誰なのかを説明するもっと前にあるような、そう感じてるのは、また旅行者の視点だけどね。でも私が何であっても何でもいいような感じがした。
私たちの視点と彼らたちの視点、何かいつも事情は交差して、見えているものしかない。その瞳の中のそこにあるのは瞳ってやつなんだけど、もっと知りたくて、ついて瞳の奥をみてしまう。
戦争、死、女装、新しさ、侮蔑、白人、危険、暴力、アート、移民、亡命者、法律、市民権、アイデンティティ、クリエイティブ、パーティー、みんなの場所。何かを気付かされる。私たちはどの辺りにいて、どの視点でみているのか。それはまたなんと言う風に見えているのか、誰に?
私たちは認識していることが違う、目の前にしている現実が違う。受け止め方も関わり方も。
それは、面白いのか?
その場所、ある種の人たち、確かにあるし、いたのだけれど。
レイヤーがいろいろな角度で交差する。
ものを語ることの難しさを見せる。
ウーがみたこと、いたとこ、やっていたこと。仲間、歴史、群衆。
何重にも、現実に絡み合い、いろいろなことが展開していく、しかして現実は終わらないのだ。
ウーは自分の体と、精神を使って、それを見せてくれる。