SRS♂ありきたりなふたり♀
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上映日時
- 【京都】10/14(日) 11:30開演 (11:10開場)
作品の上映にあたって交わされたSound Records LLC.代表取締役/プロデューサー・高田竜一さんとチームばらいろ代表・ひびのまこととのメールでのやり取りを掲載します。作品についてより一層理解を深めることができますので、ぜひご一読ください。
→ 上映にあたって交わされたメール
- 邦 題 / Japanese Title
- SRS♂ありきたりなふたり♀
- 英語題 / English Title
- SRS♂no reason to love♀
- 監 督 / Director
- 犬童一利 / Inudou Kazutoshi
- 時 間 / Length
- 50分 / 50mins.
- 制作年 / Release Year
- 2011
- 制作国 / Country
- 日本 / Japan
- 音 声 / Languages
- 日本語 / Japanese
- 字 幕 / Subtitles
- –
- ジャンル / Genres
- ドラマ / Drama
- プレミア情報 / Premier
- –
- ウェブサイト / Website
- SRS♂ありきたりなふたり♀特設HP
- その他の情報 / Others
- –
上映にあたって交わされたメール
当映画祭ひびのからSound Records LLC.高田さま宛に送られたメール
Sound Records LLC.
高田 竜一さま
こんにちは。
関西クィア映画祭代表のひびの まことと申します。
この度は、関西クィア映画祭2012への作品応募をいただき、ありがとうございました。実行委員会で試写をしたところ、『SRS~ありきたりな2人~』については、様々な意見が出され、話し合った結果、以下の結論に達しました。
●監督、もしくは映画の内容について責任をもって話が出来る方が上映に出席し、上映後の監督挨拶及び討論に参加頂ける場合には、映画祭で上映をしたい(大変申し訳ないのですが、交通費等はご負担下さい)。その場合は、上映謝礼として1万円をお支払いする。また、ゲストパスを進呈し、全作品を無料で見て頂けるようにする。
(なお、上映については10/14(日)11:30から、京都の京大西部講堂での上映を予定しています)
このような判断になった理由を、少し説明させて下さい。
まず、映画を拝見して始めに思ったことは、おそらく身近でおきた出来事であろうMtFトランスジェンダーとの出会いと顛末を受けて、その出来事に積極的に向き合っていこうという姿勢です。トランスジェンダーや性的マイノリティーについてまじめに考えたことがなかった人が、実際の出会いを通していろいろなことを考え、今度はそれを社会に表現する側になっていく、そのダイナミズムを感じることができて、その点でとてもいい印象でした。トランスジェンダーとの出会いを「なかったこと」にしたりするのではない、その真摯さに共感しました。以下に書きますが、内容についてはかなり批判的な意見が強いにもかかわらず、可能であれば上映しようという判断に至ったのには、この姿勢というか態度に、共感したからです。私自身も、もともとトランスジェンダーだという自認はなかったのですが、FtMの人との出会いややり取りを経て、現在はMtXトランスジェンダーを名乗っています( http://barairo.net/works/index.php?p=35 )。養殖系トランスジェンダーです(笑)
しかしながら、トランスジェンダーを扱った映画としてみた時、やはり気になる点が多数ありました。
・SRSのみに焦点を当てすぎており、性別を越境するという一連の過程や複雑さを踏まえていない
・性別についてのステレオタイプな見方が映画の中に見られる。フェミニズムを踏まえていない。
・トランスジェンダーを含む性的マイノリティーについての中途半端な知識の開陳がみられる
・トランスジェンダーではない人の視点から作られているにもかかわらず、トランスジェンダー差別についての社会的・制度的な諸問題についての認識が見られない
これらは私達の中で出されている意見です。映画を作った側からすれば必ずしもこれらの意見には同意されないかもしれませんが、こういった諸点について、監督と一緒に話し合い意見交換できるのであれば、そのやりとりを観客と共有することには意味がある、との判断から、冒頭のような結論になりました。ですので、監督等のご来場がなければ、上映はできません。
関西クィア映画祭では、これまで本当にたくさんの映画を上映してきました。それは、ただ単にトランスジェンダーの映画を上映した、トランスジェンダーを取り上げたというものではなく、トランスジェンダー自身が人生を生きやすくするにはどうしたら良いかということを、ジェンダーの多様性を踏まえながら考え、選択肢を一つでも増やそうというものでした。お時間があれば、ぜひ他のトランスジェンダー映画も見てみてください。
トランスジェンダーや性同一性障害をめぐっては、当事者の間でも本当に多様な考え方があり、論争があります。そういった議論を踏まえた上でであれば、仮に意見の方向性が私たちと異なっていてもいいのですが、映画を拝見した限りでは、トランスジェンダーや性的マイノリティーをめぐる日本の議論の歴史(そして運動の歴史)をほとんど知らない人が作っている作品だと思いました。トランスジェンダーではない人が、トランスジェンダーではない人の視点から作った映画だ、そしてしかも、トランスジェンダーについての知識も認識も、十分に煮詰められていない、と思いました。ただ、映画を作ったその思い、その思いは受け止めたい、というふうにも思いました。
渾身の映画に対して、批判的なコメントをしてしまい、ご不快に思われたら申し訳ありません。
勝手なお願いになってしまいますが、冒頭の条件での上映をさせて頂けるかどうか、ご検討をしていただけないでしょうか。(もし必要であれば、こちらからお電話で説明させていただこうと思いますので、その旨ご連絡をいただけると助かります)
どうぞ、よろしくお願い致します。お返事を、お待ちしています。
Sound Records LLC.高田さまから当映画祭ひびの宛に送られたメール
関西クィア映画祭代表 ひびの まこと様
お返事ありがとうございます。
また、長文やご丁寧な配慮、誠にありがとうございます。
返信を考えていましたら遅れてしまいました。
私どもの作品の経緯など、的確に御理解していただき、何も返す言葉ございません。
また、私どもも「未知な分野」「書物や話を聞いた中での創作」「単なる友人関係の延長での作品創り」
などなど、出来上がった経緯は確かに当事者側から離れた所からのスタートだった・・・と痛感しております。
今でも、当事者を理解するなど、私は出来ていないだろうな・・・と、たまに考えます。
気にすることが傷つけるのか?気にしないことが傷つけるのか?繊細になるべきか、ならざるべきか・・・
自分の気持ちと全く違うからこそ、繊細な性だからこそ、軽はずみに動けなく・・・
でも、作品を創り、一般の人に理解を求めなければ・・・伝わる作品、興味を持ってもらう作品にしなければ・・・
色々、考えていても答えなんて出るわけもなく・・・。
当事者側の想い、感情・・・一般の方の現在の状況。
エンターテインメントとして発信する上での譲れないライン。
色々、考えていても何も進まないと感じております。
当然、上映会には出品したいですし、監督と私とで伺わせていただきます。
色々話させていただき、次回作「SRS」ではHIV問題も入れていきたいので、沢山の話ができたら・・・
と思います。
時間の都合がつけば、今回のモデルとなりました荒木恵にも話をして、同伴出来れば・・・
とも考えております。
まずは私たちを知っていただくことが、話す上で重要だとも思いますし、話がスムーズにもなると思います。
私も荒木恵と知り合うまでは、無知な男でした。
友人が荒木恵と付き合い、私も時間を共有する中で色々な感覚が変化しました。
偏見、思い込み、他人を見ないこと。
私も音楽だけを10数年・・・高校から音楽だけしか行なってこなく、色々な世界のある中の小さなカテゴリーの中で生きてきました。今 そう痛感しています。
人との出会いで色々なことが新たに見えました。学びました。
音楽の在り方。それ自体に今回の作品で私は影響も受けてます。
世の中には色々な悩みや問題があり、その1つが性でもあると思います。
先進国で目立つのか?途上国は目立たない?生きることが一杯だから?
色々、私も知りたいこと、世の中に発信したいことが沢山あります。
うまくまとめれないですが、上映の機会をいただけて感謝しております。
それを糧に、次回作以降、歩み寄れる形にしてまいりたいです。
また、監督より質問なのですが、上映していただくことは情報公開などしても宜しいですか?
とのことです。
私もGID(*1)の会員にならさせていただきました、今後 学び 正しい情報を作品に取り入れてまいります。
- *1: 一般社団法人 gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会
→ gid.jp