罪なき罪ークィアと身体障害

▼「性」と「障害」の言葉を同時に聞く事はとても珍しいです。聞く時は、障害者って「性」を持ってるの?セックスするの?と言われてしまうのです―出演者の一人、 マリア・パラシオスは言う。有色で身体障害を持つジェンダークィアのアーティスト達が、「普通」や「セクシー」を問う。自身の身体を使った表現に挑戦する米国の活き活きとしたドキュメンタリー。

★【大阪】監督の来日が決定!上映終了後に、監督のPatty Berneさんをお招きしてトークを行います。お楽しみに!
※監督トークがあるのは、大阪会場のみで京都では映画上映のみとなります。
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上映日時

【大阪】 9/14(土) 16:20開演 (16:00開場)
【京都】 10/5(土) オールナイト

作品情報

罪なき罪ークィアと身体障害 / Sins Invalid
監督:Patty Berne
2013|米国|32 min|
音声:英語|字幕:英語、日本語
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写真


パティ・ベルネ監督へのトーク依頼内容

(※今回の、監督来日にあたり、代表のひびのまことよりパティ・ベルン監督に以下のような内容でトークを依頼しています。どのような内容になるかとても楽しみです!)

私たちがベルンさんにお話いただきたいことは、時間的制約もあり、主として以下の3つの論点です。

(1)身体障害の正義、身体障害とセクシュアリティ
 まず、身体障害者のセクシュアリティ、いやむしろそれ以前に身体障害者の存在や生き方自体が、日本では社会的に可視化されておらず、日本社会は圧倒的な「健全者社会」です。私が米国に行った時には、町中に当たり前に身体障害者がいて、当たり前に行動していて、日本との違いに驚いた経験が思い出されます。
 また、関西クィア映画祭を含む日本のセクシャリティーを扱う場においても、身体障害者は不可視化されています。大小、左右、路線を問わず、身体障害者の存在を前提とした場作り自体が、極めてまれな状況にあります。
 従って、まず、身体障害を持つ人の視点から、性・セクシュアリティーについて公に語られること、障害者を主たる聴衆として想定して話者が話しをすること、その事自体が、重要で必要です。それは、身体障害者自身のエンパワーのためにも、健全者の学びのため にも。
 関西クィア映画祭は性について扱う場所、という前提なので、性を扱う場において、身体障害者が何を考えているか、性を扱う場における障害者差別の実際と、またそれをなくすためにはどうすればいいか、などについての意見を聞かせてください。それは、関西クィア映画祭を含む「クィアな場所」「リベラルなつもりのクィア」を厳しく批判したり告発するような言い方でも構わないし、アドバイスや提案をするような方法でも構いません。

(2)「多数派のための運動」に抵抗するマルチイシューな取り組みについて
 同時に私たちは、ベルンさんが様々な課題に取り組むマルチイシューの活動家であることにも、とても興味があります。なぜなら、私たちは、「性的指向のことだけではなく、女性差別やバイ差別トランス差別も扱おう」という点においてだけは少しくらいは成果を収めています。しかし、「(日本人の)性に関わることだけではなく、民族差別も扱おう」「貧困やホームレス、移民のこともクィアなテーマだ」「ゲイである米国領事と付き合うなら米国の侵略や外交政策も批判すべきだ」「性的な暴力の問題も扱うべきだ」といった論点では、多数派形成はおろか、まだスタート地点にしか/すら立てていません。もちろん、残念ですが、身体障害者の権利の問題もこのリストに続きます。
 実は福島原発事故以降とくに、日本社会全体の排外主義的ナショナリズム傾向が強くなっています。それは、例えば日本の反原発運動が日本の排外主義的ナショナリズムとのつながりを持ち始めていること(民族差別を反原発運動が容認しつつあること)を批判したり、反原発運動の内部にある女性差別、異性愛中心主義、そして障害者差別を批判することに、私たちが困難を抱えている現実としても現れてきています。むしろ「多数を組織し多数派を形成する事こそが大切」などという言説が幅をきかし、シングルイシューの運動こそが必要、原発以外の他の論点を持ち込むことで運動を分裂させるな、などという言い方が「多数派」によって言い募られている現実があります。この反原発運動に起きているのと同様な傾向が、日本社会全体が右傾化する状況と相まって、日本のセクマイ界隈でもみられます。
 最近は日本でも同性婚やLGBT市場を巡る話題があり、主流指向の同性愛者達による「主流派のLGBT運動」が、日本社会全体の中における「良心的多数派」と協力して、形成されようとしています。こういった動きにどのように付き合い、向き合い、提案し、抵抗し、「多数派のための運動」ではない「みんなの」クィアな運動を作るためにはどうしたらいいのか。もちろん私たちなりの取り組みはあるのですが、マルチイシューな取り組みを続けてきたベルンさんにも、ご自身の経験や意見についてお聞きしたいし、ぜひアドバイスや知恵がほしいのです。

(3)フェミニズム
 また、お話全体を通じて踏まえていただきたいのが、日本においては、主流派フェミニズムですら今でも社会的に周縁化されている、という事実です。公的な場における「政治的正しさ」も、日本ではたてまえとしてすら「あたりまえ」の事にはなっていません。「男性中心主義・女性差別」という社会制度や権力関係がある、という気づきを多くの人が得られる可能性についてもご留意してお話いただけたら幸いです。

パティ・ベルン監督

 パティ・ベルンさんは、身体障害を持つクィアな人たちのためのパフォーマンスグループ「Sins Invalid 罪なき罪」の共同創立者およびディレクターです。またベルンさんは、戦争と拷問により亡命を求める移民のための取り組み、ハイチのディアスポラやグアテマラの民主主義運動を支援もしています。様々な理由で投獄された若者たちと協力もし、LGBTQIのコミュニティー活動にも関わっています。性と生殖、遺伝子工学の分野において障害者の権利の視点からの発言をし、暴力を受けたサバイバーのためのメンタル・ヘルス・サポートも提供しています。
 社会的に周縁化された人たち、特に身体障害者の声を集める文化活動を行い、また、個人間及び国家による暴力のサバイバーの心的外傷や癒しに焦点を当てて研究も推し進めます。
 2008年には、「Sins Invalid 罪なき罪」の活動と歴史を通じて世界を変えるための文章を、ラウトレッジ出版社の本の中で公表しました。現在のベルンさんは、「レイプに反対するサンフランシスコの女性たち」という団体の役員を務め、また、2009年にはLGBTQIと障害者の権利の分野での並外れたリーダーシップについての賞を「全米レズビアン&ゲイ・タスクフォース」から受賞もしています。

※監督が「日本の身体障害者のクィアに会いたい!」と言っています。映画祭までご連絡頂いたら、映画祭会期中にご紹介できると思います。(ベルン監督の日本滞在は、映画祭会期中だけです)

関西クィア映画祭2013

★大阪会場 ヘップホール
  2013/9/14 (土) ~16 (月*休)
★京都会場 京大西部講堂 2013/10/4 (金) ~6 (日)

主催

関西クィア映画祭実行委員会
(チームばらいろ)

共催

ヘップホール
HEP FIVE(大阪)

協力

西部講堂連絡協議会(京都)
東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(字幕)
アジアンクィア映画祭(字幕)
大阪アジアン映画祭(字幕)

助成

ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川 Goethe-Institut Villa Kamogawa
(ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川)

後援

スイス大使館 スイス大使館

大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館
大阪・神戸ドイツ連邦共和国
総領事館




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